投稿日時 2020-01-17 11:40:22 投稿者 nayuta このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
投稿者コメント | |
「このはと」で山城を改造すると聞きまして、つい考えてしまいました。 あちらは41cm砲10門の凄いものになるようですが、こちらは堅実に、というか地味に。 コンセプトはもちろんアメリカ戦艦と撃ち合って勝てる戦艦。 山城の排水量やサイズ、全長、全幅を見るとほぼ長門型と同じですね。 建造当時世界最大の戦艦だったそうな山城のボディをそのまま長門に流用したのでしょうか? なら、機関の換装も兼ねてバーベットを変更するなら長門にしてしまえばいい、とも思いますが、長門は古い船です。 開戦時で艦齢20年を過ぎています。 それでも砲戦力や装甲は一級品ですが、速度だけは時代遅れです。 戦闘で勝つには相手の一部をこちらの全力で攻撃する、陸戦では分断しての各個撃破になりますが、海戦では相手の単縦陣の先頭艦、または最後尾艦をこちらの全艦で攻撃する事になります。 いわゆるT字戦法ですが、これをやられた相手は当然逃げようとします。 これを逃がさないように、常に同じ状況において攻撃し続けるには相手より優速、速く動く必要があります。 日清、日露で常に劣勢な砲戦力を、日本はこの方法で補って勝ってきました。 「相手より優速」が日本戦艦の基本コンセプトでもあります。 長門型が完成した頃はアメリカ戦艦の速度は22~23ktでレイテで28kt近くを出した長門型は優速でした。 しかし、20年後では独仏伊の戦艦が30kt、米英の戦艦が28~29ktでは長門型の優速はなくなります。 速度が同じ、または劣勢なら、ユトランドのように2列仲良く並んで互いの相手と叩き合う同航戦に持ち込めればいいところです。 これではせいぜい痛み分けが限界です。 日本海海戦のように、一方的に勝つために必要なのが優速です。 なので山城改にはせめて31kt、できれば32~33ktの速度を与えたいところです。 速度を上げる方法は機関出力と艦形です。 機関は大和のボイラー12基150、000馬力を8基積んで100、000馬力。 史実の長門が82,000馬力だったようですから、まあ充分でしょう。 問題は艦形です。 船は長く細い方が速度が出ます。 極端なものはアイオワ級でしょう。 パナマ運河の制限で全幅を制限された結果全長が長くなり、あり得ないほどの速度になりました。 山城の場合、近代化改装時軸馬力が40000馬力から70000馬力と倍近く増加していますが、速度は23.3ktから24.6ktと1.3ktしか増加していません。 いろいろな要因はあるでしょうが、大きなものとして28.96mから34.6mまで増加した全幅があるでしょう。 全幅の増加はバルジの追加によるものです。 改装によっていろいろ追加された結果、山城は重くなり浮力が足りなくなりました。 バルジは一種の浮力装置で魚雷防御も兼ねる優れものです。 これを艦腹に増設して減った浮力を補いました。 ただしその代償が出力増加の割に増えなかった速度です。 なので長門型なら4基8門の主砲が搭載可能なところ、1基減らして軽くしバルジを最小限にして全幅の増加を抑えます。 併せて艦尾と艦首を改造し、全長を伸ばしました。 艦首は「大淀」のように高くして、高速走行時に主砲にまで飛沫をかぶっていた凌波性を改善しています。 主砲塔を前1、後ろ2にしたのは特に後方優先という事ではなく、誘導煙突を避けるためです。 日本海軍軍艦独特の誘導煙突は子供の頃は「かっこいい」と思っていましたが、大人になって少し技術の事が判ってくると、「あんなバカなものはないな」と。 ボイラーで発生した排煙を、空中の一定位置に導くのに最も効率がいいのは真っ直ぐ煙突を立てることです。 誘導煙突は真っ直ぐ伸ばす位置に艦橋などが来てしまったので、やむなく煙路を屈曲させて隣の煙突にくっつけたものに過ぎません。 ただでさえ限られた艦内容積を長い煙路に食われ、屈曲した煙路は排気効率も悪くなり、さらに煙路の周りは排熱で大変なことになるので防暑空間も必要になるでしょう。 良いことは何もないように思います。 それとも誘導煙突にすると出力が増加する、とかあるのでしょうか? 要は前甲板に主砲塔を3,4基集中配置したいがために艦橋を後ろに下げた結果だと思いますが、そうまでして前甲板に集めた主砲が前方12時に指向できるかというと。 6門を指向できるのは最上型だけで(利根型の4番砲塔は仰角を付けると出来るのかな) 3番砲塔は左右90°しか指向できません。 ならば後甲板においても同じ事です。 本図の主砲塔は全て射界320°を確保していますので、後甲板に積んだデメリットは少なくなっています。 前1基にしたもう一つの理由はトップヘビー対策です。 塔型装甲艦橋にしたので重心が上がってしまいます。 前2基の場合、2番砲塔は背負い式になり、1段高い所に主砲塔を置かなくてはなりません。 後ろに回すことにより、主砲塔を概ね低い位置に設定できました。 主砲塔は八・八艦隊中止によって余剰になった41cm砲塔、副砲は最上型から外されて余剰になった15.5cm砲塔(「このはと世界」で最上型はあるのかな?)です。 高角砲だけは大戦後期の長10cm砲なので、時代設定は無茶苦茶ですね。 25mm3連装機銃は日本海軍の一般的なものですが、主砲の爆風に晒されるところが多いので殆どカバー付きになりました。 カタパルト中央方式はヨーロッパの戦艦に見られる形で、この位置だと砲戦の最中でも水偵を射出出来るそうです。 日本海軍のように後甲板や4番砲塔の前に置くと、下手すると主砲発射の爆風で水偵が破損する場合もあったそうです。 その分、水偵甲板が狭くなったので、ゼロ式3座水偵は翼をたたんで保管したいところです。 短艇も同じ理由で水偵甲板下に集めました。 山城は甲板の至る所に短艇を置いていますが、主砲の爆風や被弾時の爆発などでボロボロになるのではないでしょうか? さて、山城はアメリカ戦艦相手に艦隊戦を戦えるよう改造しましたが、果たして艦隊戦は発生するのでしょうか? 日本海軍はアメリカ艦隊の進撃に備えて漸減邀撃作戦を準備していましたが、アメリカ艦隊が主力決戦を挑んでくるとは限らない。 アメリカが艦隊決戦をするとしたら、日本主力艦隊を排除する必要がある、と考えたときだけですが、多分しないと思います。 艦隊は制海権を奪取するものであるのと同時に、自国の制海権を守るものでもあります。 日本という国は海から守る場合、非常に守りにくい国です。 太平洋に広く開け、長大な海岸線を持つ。 バルチック艦隊を迎え撃つとき、秋山真之はロシア艦隊を捕捉するのに非常に苦労しました。 日時が予測でき、日本海という内海に入る狭い海峡を通ると判っているのに、です。 時代が違うとは言え、太平洋という広いエリアからアクセスし放題のアメリカ艦隊を捕捉できるでしょうか? 対艦能力のある航空機がなければまず無理でしょう。 それがなければ。 史実では、大戦末期日本の航空戦力が失われた時点で釜石や室蘭が艦砲射撃を受けています。 アメリカはおそらく日本海軍が健在でもその隙をついて日本本土に自由に艦砲射撃を行えるでしょう。 守る側の日本としてはアメリカ艦隊を捕捉して撃滅する事が唯一の方法ですが、アメリカがそれに付き合う理由はないですね。 |
||
最大化 | アクセス解析 | ユーザ情報 |
▽この画像のトラックバックURL▽(トラックバックについて) |